鎌倉朝日連載「スケッチ日和」

  「陰陽の滝」 水彩 36×51

陰陽の滝」  黒川 明

       2024年12月号掲載

  

陰陽の滝は今泉不動で知られる称名寺の境内にある。森の中のひっそりとした滝だ。行ったときには水量が少なく、二筋の細い水筋だけだったが、雨が降ればもっと水量は増えるだろう。絵は便利で、想像も交えて描ける。

墓参りの参拝者が二組、墓の掃除に忙しい。しかし、滝には誰もいない。静かである。風さえ沈黙し、ただ流れる水の音だけが響く。それがなおさら静けさを強調する。ここにも鎌倉独特の空気と刻が流れていた。