「菊香る」

2017年10月号掲載 水彩31×41

 

 ここは寺分、住宅地として開発されてしばらく経つ。木々が切り払われ、野鳥や小動物も住処を失ったかもしれない。そこに新しい風景は作られた。

 明るい家々が並び、木々や草花が彩を添えている。穏やかで幸せそうな町並みだ。一人一人の個性が町を作り、風景を生む。ここにはきっと幸せな人々が暮らしているだろう。

 自然は美しい。しかし、人々の営みが作り出す美しさも確かにある。だから、ここを描きたくなった。