鎌倉朝日連載「スケッチ日和」

  「披露山より」 水彩 36×51

披露山より」  黒川 明

       2025年2月号掲載

  

年初に富士を描こうと決めている。今回は逗子披露山公園からの眺望だ。海と空が広い。富士は動きが感じられない。密度が低くなりそうだ。

大きなタッチで動きを出すか、でもウォッシュ、平塗りも活かしたい。逆C構図で行こう。更に線を使おうと決めた。線は日本人なら得意だ。そして私は日本人だ。川合玉堂やデュフィなどの巧みな線に感心した覚えがある。

どうかな?と目を向けると、富士はまな板の上の鯛、でん、と構えていた。